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2007/06/29

病人はつくられる

 朝、主治医がやって来て、珍しくベット側の丸椅子に腰を下ろしました。
 いつもは立ったまま10秒と私のところにとどまることのない彼の妙な様子に、何かあるなと思いました。

「ん〜、入院が長くなってるからねぇ…、私や外科の先生(注:がんの治療は泌尿器科、肺の空気が漏れる方の治療は外科が行っています)ではどうしても病気の話だけになってしまうからね…、神経っていうか精神科の先生にいろいろ聞いてもらったらどうかなと思ってね。そういう先生だと、また違った見方をしてくれるからね…。」

 予定されていた抗がん剤治療を拒否して家に帰りたいと言う私が、入院の長期化でイライラして自暴自棄にでもなったと思ったのでしょう。
 最近主治医がやけに声をかけてくるので、もしや…とは思っていました。
 私のことを考えてくれているのだなと思うとうれしかったのですが、予想通りの展開に、笑いを堪えるのが大変でした。

「先生、大丈夫ですよ。イライラしていませんから」
とニッコリ笑って答えておきました(^_^;)


 夕方、外科の主治医がやって来ました。
 なかなか肺が膨らまないし、数日前から器械が胸の空気を吸引していないような気がしたので、管の接続部分を見て欲しいと頼みました。
 接続部分に注射器で空気を送り込んだり吸引したりすると、器械がジューっと音をたてて胸にたまった空気を吸い始めました。

「ちょっと詰まっていたみたいね。明日レントゲン撮ってみましょう。」

 そう言って外科の主治医は去っていきました。
 ずっとあのままだったら、手術で肺を切り取られるところでしたよ〜。クワバラクワバラ…(-.-;)

 医師にお任せでなく、患者も治療に参加しなければ「病人」はつくられていきますよ。
 みなさまも、お気をつけくださいませ…。

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2007/06/28

一緒に喜んで

 木曜日は回診があります。
 可動式のテーブルに乗ったノート型パソコンの画面を見ながら、病棟責任者のK先生が数人の医師を引き連れてやってきました。
 画面上の私のデータを、小声でまわりの医師に説明しています。

「白血球が増えてたけど、また減りましたね。ちゃんと食べてる?」

 抗がん剤の副作用で造血機能がおちているんだから、食べ物をたくさん食べたからって白血球は増えないよ〜(>_<)
と思いましたが、「はい」とだけ答えておきました。

「これじゃ、次の(抗がん剤の)点滴ができないね…」

(私の心の声)
だから点滴はしたくないってば〜(-.-;)胸の管が抜けたら家に帰るの!それに…

「がん細胞がかなり小さくなったんですよ!」

「…」

 私の言葉になんの反応もせず、K先生はパソコン画面を見ています。取り巻きの医師だけでなくナースも反応なしです。

えっ…(゜.゜)
私が喜んでるんだから、一緒に喜んでよー。

 とっても淋しい瞬間でした。

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2007/06/27

誠実に

 「あの…、抗がん剤はしたくないんです。で、管が抜けたら家に帰りたいん…ですけど…。」
 私の前には、少し戸惑った表情の主治医が座っています。
 「管はいつ抜けるか、わからないよ。」
 「はい。でも、一度家に帰りたいんです。」
 ベットの上に正座して、主治医の目を見て言いました。全身が熱くなるのを感じました。

 先週末、主治医から抗がん剤(9回目)の点滴を始めると言われたのです。
 がん細胞が弱っている間に、やっつけようと考えたのでしょう。
 主治医の言葉を聞いた瞬間「いやだぁ」と思いました。
 でも、その晩ナースから
「点滴が始まりますね。先生から(薬の)オーダーが入ってますよ。」
と言われ、「あ〜、仕方ないかなあ。」と私の中に諦めムードが漂い始めました。

 消灯した暗い病室で私は考えます。

抗がん剤を体に入れると悪くない細胞がまた死んじゃうよ…、職業柄主治医の気持ちもわかるけど…、また抗がん剤打てば1か月は帰れないし…、相方は何て言うだろう…、胸に管を入れたまま抗がん剤打つなんてきついよなあ…、もう1回抗がん剤打ってから家でゆっくりするか…、今さら抗がん剤しないとか言ったら迷惑かけるよね…、仕方ないからって抗がん剤を安易に打っていいの?…、う〜ん、う〜ん…(-_-)

 脳ミソがぐにゃぐにゃになる(イメージです、念のため…)ほど考えました。

そうだ、身体に聴いてみよう!

 ふっと、そう思いました。

 答は‘NO(ノー)’

とっても簡単でした(^-^)

 これって、アサーティブの4つの柱にある「誠実」なんですね(詳しくはアサーティブジャパンのホームページをご覧ください)。

 さあ、そうと決まれば後は伝え方です。
 相手役をたてた模擬練習ができないので、頭の中で想像しながら繰り返し練習。
 朝になって本番!
 冒頭のやり取りになったのです。
 私の伝え方は100点満点で60点くらいのできでしたが、抗がん剤の点滴はしないことになりました。
 ホッとしたのと同時に、主治医が私の話に耳を傾けてくれたことがとてもうれしかったです。

 自分にも相手にも誠実に…。
 言葉の意味を実感した出来事でした。

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2007/06/25

ゴンタの様子

 留守番中のゴンタの様子です。

 順調に身長が伸び、97センチメートルを越えました!昨年の夏に着ていた「90」や「95」のTシャツはもう着られません(>_<)

 ゴンタはショベルカーが大好き。
 工事現場を発見すると大変です。
「オレンジショベルカー、みどりショベルカー、きいろショベルカー、あおコンクリートミキサーしゃ」
 まるで早口言葉のように、視野に入った車輌を全て言い切るのです。
 そして、決まって最後はこのセリフ。
「ゴンタ、おおきくなったらショベルカーのうんてんしゅになるんだぁ」

 最後にもうひとつ。
 ゴンタは時代劇が始まると、「じんせい!」と言うそうです。
 あっ、月曜日のこの時間は…。
 今頃きっとテレビに駆け寄っていることでしょう(-.-;)

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2007/06/23

世間は狭い

「ポットベリー出てるのー?!」

 同室の人たちと、いつものように話をしていました。
 私以外の3人の娘さん(20才代〜40才代)がピアノの先生をしているというところから音楽関係の話に…。
「私は好きで打楽器やってますが、プロでなさるのは大変ですよね」
の一言に隣のベットの人が反応しました。

「打楽器だったら、あの…えーっと…(口元に手をあててヒゲのジェスチャー)」
「永野さんですか?」
「そうそう、夫の知り合いでね。何だっけ…、ぽ、ぽ」
「ポットベリーですか?私やってます!」
「えー!?じゃあ私あなたを見てるわ。何度か演奏会に行ったもの」
「ありがとうございます!!」

 思わず彼女の手を握っていましたf^_^;
 いや〜、世間は狭いですね。

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2007/06/20

変な夢

 駅のホームでマーチングバンドが演奏しています。私は楽器も持たず、管楽器奏者が斜めに行き過ぎる間をキョロキョロしながら歩いています。
 場面変わって列車の中です。ふと見るとヤギが1頭座席に座っています。
 次の瞬間、そのヤギが私目掛けて突進してきました。そして、私の両手をガブリ!

ぎゃ〜、やめて〜(゜o゜)

 ここで目が覚めました。なんとも変な夢です。
 私の両手は額の上にありました。ホッ(-.-;)
 今朝は、吹奏楽の演奏を客席で聴いている夢をみました。

 これには訳があります。 高校時代の吹奏楽部の同期で、節目の年を記念した同窓会を来月催すのです。全国各地から、家族も交えて集まります。
 私はもちろん参加する気でいます。けど…、頭の片隅には「それまでに退院して参加できるかなあ」という不安があるのでしょうね。
 それにしても、ヤギに手を噛まれるのは理解に苦しみますが…。

「同窓会に参加できますように…」
 毎晩祈る私です(^人^)

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2007/06/15

うれし〜い

 主治医からレントゲン写真を見せてもらいました。
 パソコンの画面にデータを並べます。左は昨日の、右は5月2日に外来を受診した時のレントゲン写真です。
 左右の肺の目立つ腫瘍3か所が、いずれも5ミリメートルずつ(割合では3〜4割)小さくなっていました。

ひゃ〜、うれしいぃぃ(゜o゜)

 いつもは「一回の点滴治療で一喜一憂してもね…(-.-)」なんて冷めてる主治医ですが、今日は違います。
 パソコンの計測機能まで使って腫瘍の大きさを計り、丁寧に説明してくれるのです。
 先生もうれしかったのかな(^_-)-☆

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2007/06/14

セーフ

 「今回は前回(2か月以上かかったからね…)のように肺が膨らむまで待っていられません。夕方のレントゲンで膨らんでなかったら手術を考えます。」
 回診での外科医のコメントにショックを受けました。

え〜、そりゃないよ〜(>_<)

 早いとこ肺を正常に戻して、次の抗がん剤治療をしたいのでしょう。私ではなく、医師が…。

 手術になれば背中を20センチ程切って、肋骨を取り除いて肺までたどり着かなければなりません。
 想像しただけで憂鬱になります。
 それに、これ以上体にメスを入れるのは嫌です。
 夕方のレントゲンまで、神や仏に祈るような気持ちで過ごしました。

 夜、外科医が来て言いました。
「肺が少し膨らんでいたよ。膨らんで胸の内側の壁に近づけば、肺の穴が塞がりやすくなるね。」

よかった〜\^o^/

「じゃあ先生、(手術せず)このままいきましょうよ!」

 私の言葉に微笑みながら医師は去っていきました。

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2007/06/11

またまた(>_<)

またまた(>_<)
 またまた‘お供’につながれちゃいました(>_<)
 左肺の下の方が縮んでいたのです。
 抗がん剤が効いて、がん細胞が消えたため肺に穴が開くらしいのです。
 喜んでいいのやら、悲しんでいいのやら…。

 白血球数は3200、血小板数も4万6000まで増えて、もうすぐ退院か!と喜んでいたんですよ。
 今回は‘お供’との付き合いが短いことを祈ります(-_-)

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2007/06/10

病気から学んだこと

 髪の毛が本格的に(?)抜けてきました。
 抗がん剤の副作用です。
 点滴が終わってから約2週間経つと、じっとしていても髪の毛が床にバラバラと落ちます。
 この経験は3度目なので今では「あ、抜けてきたな」くらいしか思いませんが、最初の抗がん剤治療の時は大変でした。

 退院して久しぶりのお風呂。湯舟につかっていると水面が髪の毛で真っ黒になるのです。
 勇気を出してシャンプーをすると、ほとんどの毛が風呂場の床に散らばりました。
 床にお湯を流しながら、それを丁寧に集めます。排水溝の上には髪の毛の山…、両手いっぱいくらいでしょうか。
 髪の毛の山をビニール袋に入れていると涙が出てきました。

 髪の毛はちゃんと生えてくるだろうか…、毎日心配しました。
 抗がん剤治療が一段落して1か月ほどすると、地肌から1ミリくらいの毛がお目見えしているではありませんか!

 うわあぁぁーw(゜o゜)w

 髪の毛が生えてうれしいのと同時に、人間のからだってスゴイなあ…感動で体が震えました。
 私が病気から学んだ最初のことです。

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2007/06/08

個室脱出!

 個室から脱出できました!
 今朝の血液検査で白血球数が2000台になったようです。
 大部屋(5人用)に移ってみれば、顔見知りが2人もいらっしゃいました。
 お互いリピーターなんですね…(-.-;)

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2007/06/06

仕事の重み

 今朝の血液検査で白血球数が若干増えていましたが、まだまだ少ないので日課の売店通いを禁止されてしまいました。
 そうなると、個室での楽しみはテレビになってしまいます。

 テレビからは、事件や事故…、ハニカミ&ハンカチ王子など様々な情報が流れてきます。
 なかでも年金問題は、行政に携わる人間として他人事ではありません。
 国会での責任のなすりつけ合い、次々に明かされる社会保険庁・社会保険事務所職員の仕事ぶり(とても信じがたいのですが)には目を覆いたくなります。

 このような光景を見ていて、あることを思い出しました。
 私が役所に入ってすぐのことです。
 窓口に高齢の男性がいらっしゃいました。20年以上前の役所の対応への苦情を言いに。
 「そんな昔のこと言われても、担当者は異動してるからわかりませんよね」
私は近くにいた先輩に言いました。
 すると、先輩は静かな口調で私に言うのです。
「行政の仕事は何年も前からの積み重ねだから、前任者がやったことの責任も全て引き受けなくちゃいけないんだよ」

 一つひとつの仕事を大切にしなければならない…。身の引き締まる思いがしました。
 年金問題のニュースが流れるたびに、職場復帰したら初心にかえって仕事をする、と心に誓う私です。

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2007/06/04

隔離されました

 「悲しいお知らせです。」
 私の前で、ナースが申し訳なさそうな表情で立っています。
 今朝の血液検査で白血球数が900台に落ち込んでいたので、個室に入ってほしいと言うのです。

 あちゃー(>_<)

 白血球数を上げるための注射を打って数日たつので、今週末にでも退院か…と思っていたのですが、そうは問屋が卸しませんでしたね(^_^;)

 “入室の際は手袋、マスクを装着のこと”

なんてドアに貼紙までされちゃって、まるで重病人のようです。

 部屋は病棟内で一番いいユニットバス付き(私はシャワー・入浴禁止ですが)。もちろん料金(個室料)は病院持ち。
 こんなチャンスは滅多にないので、しばらく個室生活を楽しむことにします

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